「不動産を売却した後の名義変更は、どのような手順で進めればいいの?」「どんな書類を準備すればいいの?」と、不安に感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、不動産を売却した後の名義変更について、手続きの流れ・かかる費用・必要書類・注意点をまとめてご紹介します。相続登記や住所変更登記の義務化にも触れていますので、売却前に全体像をつかんでおきましょう。
- 不動産の名義変更(所有権移転登記)とは何か
- 不動産売却時の名義変更の流れ
- 登録免許税・書類の手数料など、名義変更にかかる費用
- 名義変更に必要な5つの書類
- 相続登記・住所変更登記の義務化と、親族間売買などの注意点
1. 不動産の名義変更とは
不動産の名義変更とは、相続が発生したときや、不動産を売却して所有者が変わったときに、登記簿に記録された所有者の名義を変更することです。売買による名義変更は「所有権移転登記」と呼ばれます。
登記は法務局で管理されているため、名義変更は法務局に申請します。自分で行うこともできますが、手間を軽減できるため、司法書士に依頼するのが一般的です。
不動産登記法の改正により、相続登記は2024年4月1日から義務化されています。相続の開始を知り、かつ不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に登記を申請する必要があり、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になります。
2024年4月1日より前に発生した相続も対象で、期限は2027年3月31日までです(取得を知ったのが2024年4月以降なら、その日から3年以内)。詳しくは法務省の相続登記の義務化についてのページをご確認ください。
2. 不動産売却時の名義変更の流れ
不動産売却における名義変更は、次の流れで進みます。
不動産会社に査定を依頼する
不動産の売却では、信頼できる不動産会社に依頼することが大切です。なかには、物件を任せてもらうために相場に合わない査定価格を提示する会社もあります。
売却する不動産がある地域に強い会社を見つけるには、複数の不動産会社に査定を依頼し、査定価格について説明を受けることが必要です。価格の説明に納得できるか、担当者との相性はどうかといった視点で選ぶとよいでしょう。
売買契約をする
提示された売却価格に納得したら、不動産会社と媒介契約を結んで販売活動を行います。購入検討者が価格などの条件に納得すれば、売買契約を締結します。
不動産会社が仲介する場合は、売買契約書を不動産会社が作成します。引き渡し日などの要望は、このときに伝えておきましょう。
必要書類を準備する
売却が決まったら、売買に必要な書類を準備します。書類を紛失して用意できないなどの事情がある場合は、早めに不動産会社や司法書士に伝えましょう。
必要な日までに書類が準備できていないと、契約の内容によっては違約金などの問題につながるおそれもあります。スケジュールには余裕を持つことが大切です。
不動産を引き渡す
売買契約が無事に終わると、不動産の引き渡しを行います。引き渡しは、売主・買主・不動産会社の担当者・司法書士が同席し、銀行などで行われるのが一般的です。
売却する不動産にローンが残っている場合は、抵当権抹消登記の手続きもあわせて行います。司法書士が必要書類を確認し、売買代金が支払われたら売買は完了です。
司法書士が法務局に申請する
売買代金の支払いが確認できたら、司法書士が売主と買主から預かった書類をもとに、法務局へ所有権移転登記を申請します。引き渡し(決済)にあわせて司法書士が申請手続きを進めるのが一般的ですが、具体的な申請の日程は担当の司法書士にご確認ください。
登記が完了していることを確認する
申請後、法務局の審査を経て登記が完了します。完了までの日数の目安は、依頼する司法書士に確認しておくと安心です。
登記が完了すると、登記の完了を証明する「登記完了証」が交付され、新しく名義人になった買主には登記識別情報が通知されます。
3. 所有権移転登記は速やかに行いましょう
民法177条により、不動産の所有権の移転などは、登記をしなければ第三者に対抗(自分の権利を主張)できません。不動産を売却した後の所有権移転登記は、速やかに行いましょう。
トラブルを避けるためにも、登記によって法的に誰が所有している不動産なのかを明らかにしておくことが大切です。
司法書士に依頼せず自分で行う場合は、手間のかかる手続きになります。そのため多くの方は、引き渡し(決済)の場に司法書士に立ち会ってもらい、登記の申請を任せています。
4. 名義変更にかかる費用
不動産売却後の名義変更にかかる費用は、次の4つです。
| 費用の種類 | 内容 |
|---|---|
| 登録免許税 | 固定資産税評価額×税率 土地の売買:1.5%(2029年3月31日までの軽減税率) 建物の売買:2%(住宅用家屋で一定の要件を満たせば0.3%) |
| 必要書類を準備するための費用 | 住民票・印鑑証明書などの手数料(市区町村により異なる) 登記事項証明書:1通490円〜600円 |
| 司法書士に支払う報酬 | 司法書士や依頼内容によって異なる |
| その他の費用 | 譲渡所得にかかる税金、仲介手数料、引越し費用など |
登録免許税
登録免許税とは、法務局に登記を申請する際に国に納める税金です。金額は、固定資産税評価額(市町村の固定資産課税台帳に登録された価格)に税率をかけて計算します。売買価格ではない点に注意しましょう。
| 登記の種類 | 本則の税率 | 軽減税率 | 軽減の期限 |
|---|---|---|---|
| 土地の売買による所有権移転 | 2% | 1.5% | 2029年3月31日まで |
| 建物の売買による所有権移転 | 2% | 0.3%(住宅用家屋で一定の要件を満たす場合) | 2027年3月31日まで |
| 抵当権の抹消 | 不動産1個につき1,000円 | ― | ― |
たとえば、土地の固定資産税評価額が2,000万円の場合、軽減税率1.5%で30万円です。建物の評価額が1,000万円なら、本則の2%で20万円、住宅用家屋の軽減(0.3%)を受けられれば3万円になります。
税率の一覧は国税庁タックスアンサー(No.7191 登録免許税の税額表)で確認できます。
抵当権がついている不動産を売却する場合は、所有権移転登記とは別に、抵当権抹消登記の登録免許税(不動産1個につき1,000円)もかかります。
必要書類を準備するための費用
名義変更に必要な書類の取得には、次の費用がかかります。住民票などの手数料は市区町村によって異なるため、取得する窓口で確認しましょう。
| 書類 | 費用 |
|---|---|
| 登記識別情報(または登記済証) | 新たに取得するものではなく、手元の書類を使う |
| 住民票 | 市区町村により異なる |
| 印鑑証明書 | 市区町村により異なる |
| 固定資産税評価証明書 | 市区町村により異なる |
| 登記事項証明書(登記内容の確認用) | 書面で請求(窓口・郵送):600円 オンラインで請求・郵送で受取り:520円 オンラインで請求・窓口で受取り:490円 |
| 本人確認書類 | 手元にあるものを使う |
登記事項証明書の手数料は、2025年4月1日の改定後の金額です(法務省 登記手数料について)。
司法書士に支払う報酬
名義変更は自分で行うこともできますが、時間と手間がかかるため、多くの方が司法書士に依頼します。報酬額は司法書士や依頼内容によって異なるため、事前に見積もりを出してもらうと安心です。
その他の費用
不動産を売却して譲渡所得(売却による利益)が出た場合は、税金がかかります。また、不動産会社に仲介を依頼した場合の仲介手数料や、マイホームの売却であれば引越し費用なども発生します。
仲介手数料には、国の告示で上限が定められています。売買価格(税抜)のうち、200万円以下の部分は5%、200万円超400万円以下の部分は4%、400万円を超える部分は3%で、これに消費税がかかります。
400万円を超える物件では、「売買価格×3%+6万円」に消費税を加えた式で上限額を計算できます。たとえば3,000万円の不動産なら、上限額は税込105万6,000円です。
なお、価格(税抜)が800万円以下の宅地・建物については、2024年7月1日から、媒介契約の際にあらかじめ説明と合意があれば、上限33万円(税込)まで受け取れる特例が設けられています。
名義変更に直接関わる費用ではありませんが、売却時には無視できない金額です。これらも考慮して、スケジュールや予算を組むとよいでしょう。
5. 不動産売却後の名義変更に必要な書類
不動産売却後の名義変更で売主が用意する主な書類は、次の5つです。
- 登記識別情報(または登記済証(権利証))
- 住民票
- 印鑑証明書
- 固定資産税評価証明書
- 本人確認書類
登記識別情報(登記済証)
登記識別情報とは、2005年(平成17年)3月7日に施行された新しい不動産登記法で、それまでの登記済証(権利証)に代わって導入されたものです。アラビア数字などを組み合わせた12桁の符号で、不動産ごと・名義人ごとに定められ、名義人本人にだけ目隠しシール付きの通知書で通知されます。
売却の登記を申請するときは、本人確認のためにこの登記識別情報を提供します。以前に交付された登記済証(権利証)も、今でも書面での申請に使えます。
登記識別情報は再通知(再発行)されません。なくさないよう大切に保管しましょう。盗まれたり他人に見られたりしたときは、失効の申出ができます。
なくしてしまった場合も、法務局からの事前通知や、司法書士などの資格者代理人による本人確認情報の提供によって手続きができます。ただし、手続きに費用や時間がかかることがある点は覚えておきましょう。
住民票
住民票とは、市区町村が住民基本台帳法に基づいて作成する、住民に関する情報が記された書類です。個人単位や世帯単位で作成されています。
名義変更では、登記簿に記録されている住所と住民票の住所が一致している必要があります。引越しなどで住所が異なる場合は住所変更の登記が必要になるため、事前に確認しておきましょう。
2026年4月1日から、住所・氏名などの変更登記が義務化されました。変更があった日から2年以内に申請する必要があり、正当な理由なく怠ると5万円以下の過料の対象になります(登記官からの催告に応じない場合に限り過料通知が行われます)。2026年4月1日より前の変更も対象で、期限は2028年3月31日までです。
法務局に「検索用情報の申出」をしておくと、住所などの変更を法務局が確認し、本人の了解を得て職権で登記する「スマート変更登記」も利用できます。詳しくは法務省の住所等変更登記の義務化についてのページをご確認ください。
印鑑証明書
印鑑証明書は、正式には「印鑑登録証明書」と呼ばれ、市区町村に登録された印鑑を公的に証明する書類です。役所で登録された印鑑は「実印」となり、未登録の「認印」とは異なる用途で使います。
重要な契約などで実印を押す際に、その印鑑が自分のものであることを証明するために必要となる大切な書類です。
固定資産税評価証明書
固定資産税評価証明書とは、土地や建物など固定資産税の課税対象となる資産の評価額を証明する書類です。登録免許税の計算にも使われ、市区町村役場の固定資産税の担当窓口で取得できます。
本人確認書類
マイナンバーカード・運転免許証などの本人確認書類を準備します。どの書類が使えるかは、事前に司法書士や不動産会社に確認しておくと安心です。
6. 不動産売却で名義変更を行う際の注意点
親族間で名義変更をすると贈与になる可能性がある
親族間で不動産を売買すると、価格などの条件によっては贈与とみなされ、贈与税が課税される可能性があります。
親から子どもへの売買や配偶者への売買は、条件によっては思わぬ税金を支払うことになりかねません。親族間で売買する場合は、事前に税理士などの専門家に相談しましょう。
売買の名義変更では売主と買主の立ち会いが必要になる
売買契約は、売主と買主、不動産会社の担当者などが同席して行われるのが一般的です。売主と買主が売買の条件に合意して初めて売買契約が成立し、名義変更の手続きに移ります。
ただし、売主と買主が別々に契約書へ署名・押印する「持ち回り契約」をするケースもあります。
相続後の不動産売却では手続きが複雑になる
相続した不動産を売却する際は、相続の手続きで遺産分割協議が済んでいることが必要です。相続人が複数いる場合や、相続人の間で意見が割れた場合は、遺産分割協議に時間がかかることもあります。
また、相続人が決まったら、一度相続人に名義を変更(相続登記)してから売却する必要があります。売買に必要な書類だけでなく、相続登記に必要な書類を準備する手間と時間もかかることを覚えておきましょう。
相続登記は義務化されているため、売却の予定が決まっていない場合でも、期限内に手続きを進めることが大切です。
よくある質問
この記事は2026年9月時点の制度にもとづいています。税制や手続きは改正されることがあるため、実際の申告・登記の前に、国税庁・法務局などの最新情報や専門家(税理士・司法書士)にご確認ください。
まとめ
- 名義変更(所有権移転登記)は法務局に申請し、登記をしないと第三者に所有権を主張できない
- 登録免許税は固定資産税評価額×税率(土地の売買は2029年3月31日まで1.5%、建物は2%、住宅用家屋は要件を満たせば0.3%)
- 住民票などの手数料は市区町村により異なり、登記事項証明書は1通490円〜600円
- 必要書類は登記識別情報(または登記済証)・住民票・印鑑証明書・固定資産税評価証明書・本人確認書類
- 相続登記(2024年4月1日〜)と住所・氏名の変更登記(2026年4月1日〜)は義務化されている
名義変更は自分で行うこともできますが、司法書士に依頼するのが一般的です。スムーズに手続きできるよう、この記事でご紹介した流れや費用を把握しておきましょう。
高崎・前橋のRoom’s(ルームス)は、地域密着のネットワークを活かして不動産に関わってきました。希望の価格や期間での売却には、地域の相場を知ることが欠かせません。売主様の利益を考え、できる限り早く、高く売却するお手伝いをいたしますので、お気軽にご相談ください。














