「急な転勤が決まった」「家族が増えた」「そろそろ住み替えたい」。理由は人それぞれですが、マイホームからの引っ越しを考える機会は誰にでも訪れる可能性があります。相続や離婚で、住む予定のないマンションを所有することになるケースもあるでしょう。
そんなとき多くの方が悩むのが、マンションを売却するか、賃貸に出すかという選択です。
この記事では、高崎・前橋で不動産売却をお手伝いしているRoom’sが、売却と賃貸それぞれのメリット・デメリットと、どちらに向いているマンションなのかの見分け方を解説します。
- マンションを売却するメリット・デメリット
- 売却時に使える主な税制優遇の現行要件とかかる費用
- マンションを賃貸に出すメリット・デメリット
- 賃貸に出した後に売ると、3,000万円控除がどうなるか
- 売却が向いているマンション・賃貸が向いているマンションの特徴
1. マンションを売却するメリット
マンションを売却する主なメリットは、次の5つです。
- まとまった現金が手に入る
- 資産価値が高いうちに手放せる
- 税制優遇が受けられる
- ランニングコストがかからない
- 賃貸よりも難易度が低い
まとまった現金が手に入る
売却の大きなメリットは、まとまった現金を一度に得られることです。売却額が住宅ローンの残債を上回れば、ローンを完済でき、住み替え先で新しく住宅ローンを組むことも可能になります。
売却時には仲介手数料などの諸費用や引っ越し資金も必要になるため、まとまったお金が入ることは大きな魅力です。
また、住宅ローンの保証料を一括払いしているケースもあります。契約内容によりますが、ローンを一括返済することで保証料の一部が返金される可能性があります。
資産価値が高いうちに手放せる
マンションは築年数が経つと経年劣化し、一般的に資産価値や売却価格は下がっていきます。少しでも高く売りたいなら、築年数が新しいうちに売るほうが有利です。
建物は古くなっても急に性能が落ちるわけではありませんが、築年数が進むほど評価は下がりやすくなります。いずれ売るのであれば、できるだけ新しいうちに売却できることはメリットといえます。
税制優遇が受けられる
マンションを売却して得た利益を「譲渡所得」といい、所得税・復興特別所得税・住民税が課税されます。税率は、売却した年の1月1日時点での所有期間によって異なります。
| 区分 | 所有期間(売却した年の1月1日時点) | 所得税 | 復興特別所得税 | 住民税 | 合計 |
|---|---|---|---|---|---|
| 短期譲渡所得 | 5年以下 | 30% | 0.63% | 9% | 39.63% |
| 長期譲渡所得 | 5年超 | 15% | 0.315% | 5% | 20.315% |
(参考:国税庁タックスアンサー)
居住用のマンションであれば、主に次の3つの税制優遇を受けられる可能性があります。
居住用財産を売却した際に、所有期間の長短に関係なく、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例です。譲渡所得が3,000万円以下であれば、譲渡所得にかかる税金は0円になります。
主な要件は次のとおりです。
- 今住んでいる家を売るか、住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る
- 売った年の前年・前々年に、この特例やマイホームの譲渡損失の特例を受けていない
- 売った年・前年・前々年に、マイホームの買換えや交換の特例を受けていない
- 親子や夫婦など「特別の関係がある人」への売却でない
- 特例を受けるためだけに入居した家や、仮住まい、別荘ではない
なお、新居に入居した年・前年・前々年にこの特例を受けていると、新居で住宅ローン控除を使えなくなります。住み替えの際は注意しましょう。(参考:国税庁タックスアンサー)
マイホームを売却する際、売却した年の1月1日時点で家屋と敷地の所有期間がともに10年を超えている場合に、長期譲渡所得よりもさらに低い税率を適用できる特例です。軽減されるのは課税長期譲渡所得金額の6,000万円以下の部分で、税率は次のとおりです。
| 区分 | 所得税 | 復興特別所得税 | 住民税 | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 6,000万円以下の部分 | 10% | 0.21% | 4% | 14.21% |
| 6,000万円超の部分 | 15% | 0.315% | 5% | 20.315% |
この特例は3,000万円の特別控除と併用できます。まず3,000万円の特別控除を使い、所有期間が10年を超えていれば、残りの6,000万円以下の部分についてさらに税金の軽減が受けられます。(参考:国税庁タックスアンサー)
正式名称は「特定の居住用財産の買換えの特例」です。マイホームを売って新しいマイホームに買い換える場合に、売却益にかかる税金を将来に繰り延べられます。非課税になるわけではなく、課税が先送りされる制度です。令和9年12月31日までの譲渡が対象です。
利用するには、売却する住居と買い替える住居の両方に条件があります。主なものは次のとおりです。
- 売る住居:居住期間が10年以上、売った年の1月1日時点で家屋と敷地の所有期間がともに10年超、売却代金が1億円以下
- 買う住居:売った年の前年から翌年までに取得し、建物の床面積50平方メートル以上・土地の面積500平方メートル以下であること、決められた期限までに住むこと
- 中古住宅は、取得日以前25年以内の建築か一定の耐震基準に適合すること。新築は省エネ基準などの要件もあります
3,000万円の特別控除とは併用できないため、どちらを使うかをあらかじめ考えておきましょう。(参考:国税庁タックスアンサー)
ランニングコストがかからない
持ち家のマンションには、固定資産税や管理費、修繕積立金など、保有しているだけでかかる費用が数多くあります。これらは賃貸に出していても空き家にしていても発生しますが、売却すれば負担はなくなります。
売却時にも印紙税や仲介手数料、登記費用などの諸費用がかかり、利益が出れば所得税や住民税も支払います。ただし、いずれもランニングコストのように継続的にかかるものではありません。
賃貸よりも難易度が低い
マンションの売却は、大まかにいえば引渡しが済めば手を離れます。長期的に管理しながら収益を考えなければならない賃貸と比べると、難易度は低いといえます。
マンションを賃貸に出すことは不動産投資であり、リスクがつきものです。借り手が見つからず家賃収入を得られない可能性もあります。赤字運営などのリスクを抱えずに済むことも、売却のメリットです。
2. マンションを売却するデメリット
売却には、次の3つのデメリットがあります。
- いつ買い手が見つかるか分からない
- 税金や諸費用がかかる
- 不動産という資産を手放すことになる
いつ買い手が見つかるか分からない
売却の時期や周辺相場、物件の条件によって、買い手が見つかるまでの期間は変わります。すぐに決まることもあれば、数か月以上かかることもあるため、余裕をもった計画を立てておきましょう。
買い手が現れても、希望の金額にならないケースも少なくありません。特に転勤などで「いつまでに売りたい」と期限がある場合は、値下げを検討せざるを得ないこともあります。
現金が入る時期が読みにくいことと、希望額を下回る可能性があることは、売却を検討する段階から頭に入れておきましょう。
税金や諸費用がかかる
マンションの売却では、次のような費用が発生します。
| 費用項目 | 内容 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 仲介手数料 | 売却を不動産会社に依頼した場合に支払う手数料 | 売却額が400万円を超える場合の上限は(売却額×3%+6万円)+消費税 ※800万円以下の物件は、特例により上限33万円(税込)となる場合があります(媒介契約時に説明・合意が必要) |
| 印紙税 | 「不動産売買契約書」に課税される税金 | 契約金額によって異なる |
| 登録免許税 | 抵当権の抹消登記を行うにあたって国に納める税金 | 不動産1個につき1,000円 ※司法書士に依頼する場合は別途報酬 |
| 繰上げ返済手数料 | 住宅ローンを一括返済する場合に金融機関に支払う手数料 | 金融機関によって異なる |
| 譲渡所得にかかる税金 | 売却で得た利益にかかる所得税・復興特別所得税・住民税 | 課税譲渡所得×税率(所有期間によって合計39.63%か20.315%) ※特例あり |
| その他の諸費用 | 各種証明書類代・引っ越し代・ハウスクリーニング代・リフォーム代 | 費用項目により異なる |
売却時の費用は意外と見落としがちです。いざというときに慌てないよう、事前に把握しておきましょう。
不動産という資産を手放すことになる
売却すると所有権は買主に移り、自分の資産ではなくなります。一般的にマンションの資産価値は下がっていきますが、周辺の開発などで上がることもあります。売却後に価値が上がっても、その恩恵は受けられません。
また、一度手放したマンションに再び住むことは難しいでしょう。売却は、完全に自分の手から離れるという覚悟をもって決めることが大切です。
3. マンションを賃貸に出すメリット
賃貸に出す主なメリットは、次の3つです。
- 家賃収入が毎月得られる
- 必要経費を差し引いて所得を計算できる
- 将来住むこともできる
家賃収入が毎月得られる
大きなメリットは、毎月の家賃収入です。住宅ローンを返済中なら、家賃収入を返済にあてることもできます。維持費を上回る家賃収入が得られれば収支がプラスになり、資産を増やせます。
必要経費を差し引いて所得を計算できる
賃貸に出すことでかかる費用は、必要経費として計上できます。課税される所得は収入から必要経費を差し引いて求めるため、経費を適切に計上することが節税につながります。
- 住宅ローンの利息や保証料
- 固定資産税・都市計画税・印紙税
- リフォーム代
- 建物の減価償却費
- 火災保険料・地震保険料
- 管理費・修繕積立金
- 税理士への報酬
- 管理委託手数料
- 原状回復費用
家賃収入を得ると、所得の状況によっては確定申告が必要になります。青色申告を選ぶと特別控除を受けられる場合もあるため、申告の方法は税務署や税理士に確認しておくと安心です。
将来住むこともできる
思い入れのあるマイホームを手放したくない方も多いでしょう。賃貸であれば所有権は移らないため、将来また住むことができます。
資産として持ち続けながら家賃収入を得て、将来自分や家族が住む家を確保しておけるのは、賃貸ならではのメリットです。
4. マンションを賃貸に出すデメリット
賃貸に出す場合のデメリットは、次の5つです。
- 空室や家賃下落のリスクがある
- ランニングコストがかかる
- 管理業務の負担がある
- 居住用の税制優遇が使えなくなるおそれがある
- 住宅ローンの借り換えが必要になる場合がある
空室や家賃下落のリスクがある
借り手が見つからず空室になるリスクや、家賃が下がる可能性があり、安定した収入とは言い切れません。
年度替わりや異動の時期などには退去が重なることもあります。空室になれば収入はゼロになり、管理コストなどの支出によっては赤字になる可能性もあります。退去が決まったらすぐに募集をかけ、定期的なリフォームや賃料の見直しで、借りてもらいやすい状態を保つ必要があります。
ランニングコストがかかる
賃貸では所有権が移らないため、建物の修繕などの費用は所有者である貸主が負担します。
- クロスやフローリングの張替え
- 水回りの設備交換
- 給湯器やエアコンなど備え付け設備の交換
- 共用部分のメンテナンス
- 退去後のハウスクリーニング
毎月の管理費・修繕積立金、毎年の固定資産税・都市計画税も所有者の負担です。経費にはできますが、想定以上の金額になることもあります。管理会社に委託する場合は委託費用もかかります。
管理業務の負担がある
金銭面だけでなく、精神的な負担を感じることもあります。
家賃の回収や設備の不具合対応、ゴミや騒音のクレーム対応などは個人では難しいため、管理は管理会社に委託するのが一般的です。それでもトラブルが起きれば、解決のために管理会社と話し合う時間が必要になります。
居住用の税制優遇が使えなくなるおそれがある
賃貸に出すと、そのマンションは自分が住む家ではなくなります。3,000万円の特別控除は、以前住んでいた家でも住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売れば対象になりますが、賃貸を続けてこの期限を過ぎると使えなくなります。
期限を過ぎてから売却すると、利益(譲渡所得)の全額に課税されるため、税負担が大きくなる可能性があります。10年超所有の軽減税率など、居住用財産を対象とする他の特例も、使えるかどうかを事前に確認しておきましょう。
住宅ローンの借り換えが必要になる場合がある
住宅ローンは借りた本人が住むことを前提としているため、ローンが残っているマンションを賃貸に出す場合は、原則として金融機関への相談や借り換えが必要です。
住宅ローンから投資用ローンに借り換えると、一般的に金利は高くなります。手間や手数料もかかり、住宅ローン控除も受けられなくなるのが一般的です。
5. 売却と賃貸のメリット・デメリット比較
| 売却 | 賃貸 | |
|---|---|---|
| メリット | まとまった現金が入る/資産価値が高いうちに手放せる/税制優遇/ランニングコストがかからない/難易度が低い | 毎月の家賃収入/必要経費を計上できる/将来住むこともできる |
| デメリット | 買い手がいつ見つかるか分からない/税金や諸費用がかかる/資産を手放す | 空室などのリスク/ランニングコスト/管理業務の負担/居住用の税制優遇が使えなくなるおそれ/ローンの借り換えが必要な場合がある |
6. 売却が向いているマンション
築年数が古い
築年数が古いマンションは、賃貸よりも売却が向いていることが多いです。売却はリフォームしなくても買い手が見つかる場合があるのに対し、賃貸はリフォームしないと借りてもらいにくいためです。
中古マンションを購入し、リフォームして自分好みの空間にしたいという方もいます。一方、賃貸では所有者がリフォーム費用を負担しても、入居者が必ず見つかるとは限りません。
立地条件が悪い・賃貸需要がないエリア
賃貸では立地の良さが重視されます。交通の便が良い、生活関連施設が充実している、人気や知名度が高いといった条件がそろうほど需要は高まります。
駅から遠い、周辺に家が少ない、学校やお店が近くにないといった物件は、借り手が見つかりにくく家賃も高く設定できません。維持費がかかる中で空室が続けば、かえって資産が減ってしまいます。
住宅ローンが残っている
住宅ローンは居住用の住宅に対するローンのため、残債がある場合は原則として賃貸に出せません。賃貸にするには投資用ローンへの借り換えか、貯金などでの一括返済が必要になるのが一般的です。
借り換えて新居との二重ローンになれば負担は重くなります。余裕資金がある場合を除き、売却を選ぶほうが良いでしょう。
7. 賃貸が向いているマンション
人気エリアにある
駅前でスーパーや銀行などの生活関連施設が近いなど、人気の高いエリアには賃貸需要があります。築古マンションでも入居者が見つかる可能性は高いでしょう。
開発が進み、将来的に資産価値が上がりそうなエリアも賃貸を検討する価値があります。最寄り駅の利用者が多い、周辺マンションが満室といった場合は、今後も需要が期待できます。
転勤などで一時的に家を空ける
転勤や海外赴任など、家を空けるのが一時的とわかっている場合も賃貸を検討する価値があります。一般的に賃貸に出すと住宅ローンは継続できませんが、転勤など相当の理由があれば継続できる金融機関もあります。
期間限定で貸す場合は、契約期間があらかじめ決められている「定期借家契約」にしましょう。転勤期間中だけ貸すことができます。相場より賃料を安くするなどの工夫は必要ですが、空室期間のランニングコストの負担を減らせます。なお、戻らずに売却する可能性がある場合は、3,000万円の特別控除の期限もあわせて確認しておきましょう。
この記事は2026年9月時点の制度にもとづいています。税制や手続きは改正されることがあるため、実際の申告・登記の前に、国税庁・法務局などの最新情報や専門家(税理士・司法書士)にご確認ください。
よくある質問
まとめ
- 売却は、まとまった現金が得られ、税制優遇も使えるが、買い手が見つかる時期や価格は読みにくい
- 譲渡所得の税率は合計で長期20.315%・短期39.63%。10年超所有なら6,000万円以下の部分が14.21%
- 賃貸は、家賃収入や将来住める安心があるが、空室リスク・ランニングコスト・特例の期限切れなどに注意が必要
- 3,000万円控除は、住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までの売却が条件
- 築年数が古い、立地が悪い、住宅ローンが残っているマンションは売却向き。人気エリアや一時的に家を空ける場合は賃貸も選択肢
売却か賃貸かは、マンションの状態やローンの有無、ライフプランによって答えが変わる大きな決断です。後悔しないために、プロの意見も取り入れながら検討することをおすすめします。
Room’sは地域密着のネットワークを活かし、高崎・前橋を中心に不動産に関わってきました。不動産売却は、地域の相場を熟知していなければ希望の価格や期間での成功は難しいものです。売主様の利益を第一に、できる限り早く、高く売却するお手伝いをいたします。ご売却をお考えの際は、お気軽にご相談ください。














